大きな客船に乗っていると揺れもほとんどないため、船に乗っていることを忘れてしまいます。
甲板に出てみて初めて船が進んでいることに気づいたり。。
実はこれが、相対性理論の「相対性」のカギだったりします。
相対性理論の「相対性」とは、どういう意味か?というお話です。
「相対性」についてWikipediaで調べてみると
相対性(そうたいせい、relativity)とは、他との関係のなかにある(相対)、という性質のこと
と出てきます。
分かりましたでしょうか?
僕はよく分かりませんでした(^^;
そこで今度はgoo辞書の『デジタル大辞泉』で「相対」について調べると
相対とは、他との関係の上に存在あるいは成立していること
と出てきました。
つまり、相対性とは
他と比べてみないと分からない、比べてみて初めて分かるという性質
といえそうです。
■「動いている」ことに比べてみて気づく
では相対性理論の場合の「他と比べてみないと気づかないこと」とは何か?
それは、最初の例でいうところの、自分の乗っている船が動いていること、です。
これを物理学的に言い直すと
動いている船の中でも、”自然の法則”は変わらない
ということになります。
※もちろん船だけでなく、車でも飛行機でも宇宙船でも何でも構いません。
”自然の法則”とは、りんごが木から落ちるとか、重くて速いものほど運動エネルギーは大きい、などのことです。
動いている船の中にいても、りんごは斜め下に落ちることなく、真下に落ちる、などといったことを言っています。
このように、船の中にいて船の中のことを見ている限り、船が動いていることに気づかない。
船の外と比べて初めて、船が動いていることが分かる、というのを【相対性】といいます。
■ガリレオ・ガリレイも言っていた!
「りんごは木から落ちる」とか「重くて速いものほど運動エネルギーは大きい」というのは、物理で 【力学】 といわれる分野です。
実は 【力学】 の分野では、
動いている船の中でも、”力学の法則”は変わらない
ということは、アインシュタイン以前から知られていました。
このことを最初に言ったのは、地動説で有名なガリレオ・ガリレイですから、これを 【ガリレイの相対性原理】 とも言われます。
つまり【相対性原理】というのは
【相対性】
= 船の外側と比べないと、船が動いているかどうかは分からない
= 動いている船の中でも、”自然の法則”は変わらない(相対性)
は【原理】(正しいという前提で話をすすめる)という意味です。
■アインシュタインの特殊相対性原理
じゃあ、ガリレオ・ガリレイも言っていた 【ガリレイの相対性原理】 と
特殊相対性理論で出てくる 【特殊相対性原理】 とは何が違うのか。
もし全く同じだったら、ガリレイがすでに相対性理論を作っていたかもしれないので、もちろん異なる点があります。
その異なる点とは、【特殊相対性原理】 では
動いている船の中で、(力学だけではなく)電磁気学の法則も変わらない
と言うのです。
電磁気学というのは、+や-といった電気の力や、NやSといった磁石の力、また電流などをあつかう学問です。
その電磁気学の法則も変わらない、としたのが【特殊相対性原理】なのです。
この【特殊相対性原理】と【光速度不変の原理】をもとに作られたのが【特殊相対性理論】です。
■今日のまとめ
○物理学でいう【相対性】とは、
物体が動いているかどうかは他と比べないと分からない
= 動いている物体でも自然の法則は同じ
ということ。
○力学では、ガリレイの相対性原理が知られていたが
アインシュタインはさらに、電磁気学の法則も変わらないという【特殊相対性原理】を持ち込んで
特殊相対性理論を作った。