立場によって見え方が異なるのが相対論

特殊相対性理論から分かることとして
・「自分が動いていること」は他と比べてみないと分からない(「相対性」ってなんだ?
・絶対時間、絶対空間というものはない(相対論が、時間と空間についてのふざけた幻想をぶち殺す!
ということを書きました。

このことをさらに考えると、
「動いている」「止まっている」というのも相対的なものだ
と分かります(これがまさに「相対性」理論といわれるゆえんです)

電車に乗っているときに、反対側の電車が後ろに動いているのを見ると
・向こうの電車が後ろに動いているのか
・自分の電車が前に動いているのか
分からなくなるのと同じです。
(電車の場合は、周囲の景色と比べることで、どちらが動いているのか分かりますが)

ということは、相対性理論による「時間の遅れ」や「長さの縮み」も、立場によって見え方が変わることになります。

■立場によって見え方が異なる

まず時間の遅れについて見てみます。

止まっているAさんから、右側に動いているBさんを見たとき、
Bさんの時間は、Aさんに対して遅れます。

ところが、これをBさんの立場から見ると
Bさんが止まっていて、Aさんが左側に動いているように見えます。
このとき、Aさんの時間は、Bさんに対して遅れるのです。

図1:相対論的効果による時間の遅れ。AさんからBさんを見た場合は、Bさんの時間が遅れる。逆にBさんからAさんを見た場合は、Aさんの時計が遅れる。
図1:相対論的効果による時間の遅れ。AさんからBさんを見た場合は、Bさんの時間が遅れる。逆にBさんからAさんを見た場合は、Aさんの時計が遅れる。

わけがわからないよ、という感じがすると思いますが
「動いている」「止まっている」というのは相対的なもの
とは、こういう意味なのです。

同じように、長さの縮みについても考えると

AさんからBさんを見たときには、
Bさんは、右方向に動いていて、しかも縮んで見えます。

BさんからAさんを見たときには
Aさんが、左方向に動いていて、縮んで見えます。

図1:相対論的効果による長さの縮み。AさんからBさんを見た場合は、Bさんが縮んで見える。逆にBさんからAさんを見た場合は、Aさんが縮んで見える。
図1:相対論的効果による長さの縮み。AさんからBさんを見た場合は、Bさんが縮んで見える。逆にBさんからAさんを見た場合は、Aさんが縮んで見える。

「時間の遅れ」と「長さの縮み」の両方をまとめると、結局、次の図のようになります。

図1:相対論的効果は、どの立場から見るかによって異なる。AさんからBさんを見た場合は、Bさんの時間が遅れ、長さが縮んで見える。逆にBさんからAさんを見た場合は、Aさんの時計が遅れ、長さが縮んで見える。
図1:相対論的効果は、どの立場から見るかによって異なる。AさんからBさんを見た場合は、Bさんの時間が遅れ、長さが縮んで見える。逆にBさんからAさんを見た場合は、Aさんの時計が遅れ、長さが縮んで見える。

一体、どっちやねん!
と言いたくなるのですが、「どちらの立場から見ているか」が違うだけで、どっちも正しいのです。

このように
「時間(の進み方)」も「長さ」も、どの立場から見るかによって変わる
というのが、特殊相対性理論から分かることの1つです。

■速度が変わっている方の時計が遅れる

とはいえ、時間の進み方については
Aさんの時計と、Bさんの時計を後で比べれば、”本当に時間が遅れている”のはどちらか分かるのではないか?
という気がします。
実際、その通りです。

では、2人の時計を比べたときに、”実際に遅れている”のはどちらなのか。
結論を言えば、速度が変わっている方の時計が遅れるのですが、それについてはまた次回。

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