相対論の「時間の遅れ」を話したとき、よく起こる誤解が
「人によって時間の”感じ方”が違うってことでしょ?」
という誤解です。
はっきり言って、そういうことでは全く無いことを補足します。
■”感じ方”が変わるのではない。本当に「時間の流れ」が変わるのだ。
日常の中で、時間の”感じ方”が変わることはよくあります。
好きな人と一緒にいるときや、趣味に打ち込んでいるときは、あっという間に1時間経ったように感じますし、
嫌いな人といたり、退屈な作業をやらねばならないときには、1時間がとても長く感じます。
これらは、あくまで”感じ方”であって、「1時間経った」という事実は変わりません。
時計の針は、1時間先に進んでいます。
対して、相対性理論によれば、
動いている物体は、時間の進み方が遅くなる。
つまり、時間の”感じ方”が変わるのではなく、本当に時間が遅れるのです。
例として
・その場に止まっているAさんと
・Aさんに対して、光の速さの99.5%のスピードで動くBさん
とを考えると
Aさんが持っている時計が60分進んだとき、
AさんからBさんの時計を見ると6分しか進んでいない
と相対性理論は言っているのです。
つまり、時間の”感じ方”ではなく、”時間の流れ”そのものが遅れるわけです。
■時間の”感じ方”は心理学的・脳科学的なもの
もちろん、時間の”感じ方”が変わることはあります。
しかし、それは心理学的・脳科学的に解明すべきものであって、そこにアインシュタインの相対性理論を持ってくるのはナンセンスです。
(1兆分の1くらいは、相対性理論の効果が効いているかも知れませんが、その程度です)
また、実年齢より10歳以上若く見える「美魔女・美魔男」や
年齢より年上に見える「フケ顔」の方もいますが、
これらは生物学的な理由によるものであって、相対性理論を持ち出すのはお門違いです。
なにせ相対論の効果は、非常に小さく
時速300kmの新幹線に乗ってさえ、ほんの0.000004%時間が遅れるだけなのです。
つまり3日間(=72時間)、新幹線に乗りっぱなしで、ようやく1秒遅れる程度のもの。
それほど日常では相対論的効果は小さいからこそ、僕らの日常の感覚からすると、相対性理論に違和感さえ感じるのだともいえるでしょう。