物理の法則はどのように作られ、正しいと認められるのか(相対性理論を例に)

アインシュタインの「相対性理論」とは何か。

そもそも

物理の法則はどのように作られ、正しいと認められるのでしょうか。

 

【相対性理論】という言葉を聞いたことのない人は、いないでしょう。

では言葉は聞いたことがあっても、【相対性理論】とは何か、理解している人はどれだけあるでしょうか。
「あ、アインシュタインのあれでしょ!」 とか

「E=mcだよね!」 とか

「物が伸びたり縮んだり、人によって時間が違うんでしょ」 とか

「君と一緒にいると、時間があっという間に過ぎてしまうよ。これを相対性理論っていうんだね」 とか

 

理解や言葉の使い方は、人によってさまざまで、正しく概念をとらえている人は少ないように思います。

特に最後のは、違う。

 

そこで、相対性理論とは何か。また、それが意味することは何か。

一般の人にもわかるように、数式を使わずに説明したいと思います。

 

■1.科学理論は、過去の理論も含んでいないとダメ

特に今回は 【特殊相対性理論】 について説明します。

「相対性理論」について聞く話は、たいてい、この【特殊相対性理論】の話です。

 

なぜ「特殊」というのかといえば

アインシュタインが発見した別の理論に 【一般相対性理論】 というものがあるので区別するためです。

【一般相対性理論】のうち、特殊な場合だけ成り立つのが【特殊相対性理論】なので「特殊」とついています。

包含関係としては、このような感じです。

物理法則の包含関係
図1:物理法則の包含関係

 

図1を見れば分かるように、

【特殊相対性理論】自体も、ニュートン力学(高校までで習う物理学)や電磁気学(+-といった電気や、磁石の力についての学問)を包含しています。

包含しているという意味は、「特殊な場合だけ成り立つ」ということで

動いている物体のスピードが、光の速さより十分遅い場合には、

【特殊相対性理論】の計算結果は、ニュートン力学や(それまでの)電磁気学と同じものになります。

 

これは当たり前で、今までの理論で正しかったものを再現できなければ、その理論は認められないわけです。

このように、科学の理論は、すでにできあがった理論を包含する形で広がっていきます。

 

■2.相対性理論の2つの【原理】と、【理論】が作られる流れ

前フリが長くなりましたが、

結論から言うと、

【相対性理論】とは、次の2つを前提としたときに「自然に導かれる」理論です。

・光の速度は常に変わらない

・電気と磁気の法則は、止まっている物体でも等速直線運動をしている物体でも同じ

 

物理の法則というものは、すべて「何かを前提」として作られています。

その前提のもとに理論を組み立てていって、それが実験の結果をうまく説明できたならば

「その前提も正しそうだ」ということが分かるという仕組みです。

原理→理論→予想 ←← 実験による検証
図2:物理法則が作られ、検証される流れ

このときの”前提”のことを 【原理(げんり)】 と呼んだりします。

つまり、この前提(原理)が正しければこうなる・・・と理論をつくっていくわけです。

そうやって前提から、数式ができあがったときに、この数式を 【理論】 とか 【法則】 と呼びます。

 

数式ができたならば、その数式を使って 【予想】 をすることができます。

たとえば「時速○kmで動いている物体の時間は△秒遅くなるはずだ」といった形ですね。

 

そして、その【予想】があっているかどうか、 【実験結果】 と照らし合わせるわけです。

この照らし合わせのことを 【検証(けんしょう)】 といいます。

 

もちろん、ここで【実験結果】をうまく説明できなかったら、その理論は間違いです。

ただし、【実験結果】をうまく説明できるだけでは 「正しい」 とされるには不十分です。

なぜなら、すでにある【実験結果】に合うように理論を作った可能性があるからです。

 

なので、その理論が「正しい」と認められるためには

・今まで誰もやってない実験の結果を、理論から【予想】した上で

・その実験をしてもらって、理論の予想通りになるかを確かめる、

ということが必要になります。

 

この【実験】をするまでに時間がかかることも多いので、

物理のノーベル賞は、論文が出てから何十年後にもなって受賞されることなどが多くあります。

 

ここで、【原理(前提)】→【理論(法則)】→【予想】という、それぞれのステップは

論理的・数学的に計算されているので、途中のステップに間違いが入ることは(計算ミスをしていない限り)ありません。

なので「理論が間違いだった」ということは、そもそもの前提としている「原理が間違っていた」ということなわけです。

 

と、書いているうちに、ずいぶんと長くなってしまいました。。

なので、相対性理論の説明は次に回したいと思います!(あれ?)

 

○今日のまとめ

・物理の法則(理論)は、今までにあった理論を含む形で発展していく

・すべての【理論】は、なにかの【原理(前提)】から作られている

・【理論】から【予想】がされ、その予想が【実験結果】にあうかどうかで

 理論の正しさ(=前提の正しさ)が判断される

 

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